2011年1月16日日曜日

ATH-A500 と Marantz #1060


仕事の帰りが遅くなると、さすがにアンプのボリュームは絞ってやらなければならない。しかし、音楽を楽しむにはある程度の音量は必要となるので、ヘッドホンがあれば便利だろうなと考えていた。

高い買い物にはならないので、さっそく近所の大型家電量販店へ向かう。

オーディオ・テクニカ製のヘッドホン数台を比較試聴し、ATH-A500という密閉型ヘッドホンを購入した(ATH-A700(密閉型)とATH-AD500(エアダイナミック型)も最終候補に残ったが、音の傾向としては密閉型が好みであることからATH-AD500は落選し、ATH-A700は高域は綺麗だけれども、どうもスカキンな音に感じられ落選。ATH-A500が最も自然な音に感じられた)。

夕食時間とゴロゴロ時間の合計3時間ほどエージングさせておき(リピート機能でCDをひたすら鳴らしておいた)、まずはTRV-88SEのヘッドホン出力に接続。ソースはShe & Himの「Volume Two」。もちろんLPだ。

ん~、まずまずの音。密閉型だけあって、ハイからローまで自然に伸びている(スピーカーにしてもそうだけど、自分は密閉型の音が好みである)。でも、Diatone DS-73DⅡという密閉型スピーカーが奏でる音のほうが圧倒的に良い。特に低音の柔らかさは比較にならない。深夜リスニングという条件下では少々我慢してでもヘッドホンを選択せざるを得ないが。

実のところ、TRV-88SEでの試聴は単なるプロローグに過ぎず、私が一番やりたかったのは、Marantz #1060のヘッドホンアンプとしての実力チェックだ。#1060の海外ユーザーの多くは、フォノ部を褒めると同時に、ヘッドホンアンプとしての実力も評価している。実際に自分の耳でその実力とやらを体験してみたいのだ。

#1060のヘッドホン出力にATH-A500のプラグを接続。レコードに針を乗せる。もちろん、ソースは先ほどと同じくShe & Himの「Volume Two」。音が聴こえるまで少し緊張する(何せ、私の手元にこの古いアンプがやってきてから、ヘッドホン出力にヘッドホンを接続するのは初めてのことであり、場合によっては回路が既に死んでいる可能性もあるからだ)。


「Thieves」が流れる…。


・・・ちょっと待て。


私の所有する機器の、いかなる組み合わせよりも、圧倒的に優れた音が出ているではないか・・・。なんなんだね、いったい。

美しく、太く、そして音のセパレーションが良すぎるのだ。Zooey Deschanelの声が恐ろしいまでに艶めかしく聴こえてくる…。「倍音」成分もしっかりと出ており、音の豊かさついてはDS-73DⅡというスピーカーではまったく敵わない。まるで海外の高級スピーカーで音楽を聴いているようだ。

ATH-A500は、価格こそ安いものの、オーディオ・テクニカのモニター・ヘッドホンの1つであり、ソースの音とアンプの音をありのままに再現する(ことを目的に作られている)。それゆえ、ソースまたはアンプにアラがあれば、それがはっきり出てきてしまうため、見方によっては「使いにくい」ヘッドホンとも言える。そんなモニター・ヘッドホンを使っても、#1060はものの見事に豊かな音を再生してしまう。

勉強不足のため(というか、これまでヘッドホン出力に興味がなかったため)、ヘッドホン出力に至るまでの回路系統がよく分かっていない。フォノ部とプリ部を通っているのは間違いないと思う(ボリュームとイコライジングは機能するので)。プリ部を出た後は、パワー部を経てそのままヘッドホン出力部に至るのか、それともパワー部はパスされるのか(有り得ないと思うが)、はたまたパワー部を経てスピーカー用の出力に抵抗を咬ませているのか…。アンプの天板を開けて実際の回路をたどってみれば何かわかるかもしれない。

とにもかくにも、#1060のヘッドホンアンプとしての実力は想像を上回るものであることがわかった。フォノイコライザーアンプ単体としての実力に加え、ヘッドホンアンプとしての実力も兼ね備えた、誠に不可思議なアンプである。

70年代当時のMarantz普及価格帯機のはずなんだが…。

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