![Volume One [Analog]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51QRWqxPuRL._SL160_.jpg)
She & Himの1stアルバムがアメリカからようやく届く。またしてもVinyl盤(180g重量盤)だ。
2ndアルバム「Volume Two」と比べると、あまり統一感のない曲構成となっている。とは言っても、「Volume Two」に見られた60年代ロック・ポップス基調は、このアルバムにもしっかりあてはまる。
VocalはもちろんZooey Deschanelであるが、「Two」よりもVocalにフォーカスを強くあてた録音がなされているように感じる。ややもすると独特のアクの強さが目立つZooeyの声であるが、この点についても「Two」よりも際立っている。この辺りがアルバム全体に「妖しさ」を漂わせている要因の1つなのだろう。
レコードに針を落とすと、「Sentimental Heart」という切ないバラード曲から始まる。盛り上がりを見せたかと思うと、そのままフェードアウトしてしまう。そして2曲目「Why do you let me stay here?」に入る。いかにもシングルカットされそうな曲で、実際に調べてみたところ、やはりシングルカット(7inch analog)されている。バラードから始まり、シングルカット曲に続くという構成は、「Two」でも見られたスタイルだ(「Thieves」→「In the Sun」)。A面で気に入った曲は、先に述べた「Sentimental Heart」と、5曲目「I thought I saw your face today」だ。5曲目ではカーペンーズのカレンを彷彿させる声で歌う。サビはJ-Popsにありそうな聞かせ方をさせ、悪くない。
B面は実験的な要素の濃いレパートリーとなっている。8曲目「You really got a hold on me」と11曲目「I should have known better」はThe Beatlesのカバーとなっており、ZooeyのBeatles好きを窺わせる(正確に言うと、8曲目のクレジットはLennon/McCartneyではなく、スモーキー・ロビンソンの曲をBeatlesがカバーしていた曲になるが、一般的にはBeatlesの曲として有名であろうことから、便宜上、Beatlesの曲と表記した)。The Beatlesの曲はこれまで数多くのアーティストによってカバーされているが、贔屓目に見ても、Zooeyによるカバーが特段優れているようには思えなかった。もちろん、人により好き好きはあるだろうが(YouTubeでZooeyがBeach Boysの名曲「Wouldn't it be nice?」を歌う映像を見ることが出来るが、こちらは彼女の声と絶妙にマッチしていた)。B面ラスト、すなわちアルバムラストを飾る「Sweet Darlin'」が終わると、「Swing low, sweet chariot」という極めて短い黒人霊歌が始まる。この曲は少なくともLP盤のジャケットおよびレーベル面にはクレジットされていない。録音も意図的に他の曲と変えており(ア・カペラ)、印象に残ってしまう曲である。個人的には「Sweet Darlin'」のような明るい曲でアルバムをクローズさせるのではなく、「Swing low, sweet chariot」でクローズさせたことは、「余韻」という効果から見て良い形になったと思う。
「Two」とは若干趣の異なる「One」であるが、「Two」と比べて一長一短であり、ターンテーブルのレギュラー・メンバーとなるのは間違いのないことだろう。
さて、以下、余談ながら。
このアルバム収録曲のように、60年代ロック・ポップス基調で、かつ女性ボーカルの強い曲だと、Marantz #1060をプリアンプ、TRV-88SEを真空管パワーアンプとして組み合わせると、「カチッ」とはまる(#1060をフォノ単体として使用した場合よりも好結果だ)。この組み合わせの奏でる音は、いつか聴いたMarantz 7 - 女性の声を瑞々しく化粧させるあのセブンの音 - を彷彿させ、危険な世界へ誘われる。

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